退職金にかかる税金を徹底解説!
定年退職や早期退職で退職金を受け取る際、気になるのが税金です。
「退職金っていくら引かれるの?」「手取りはいくらになるの?」
この記事では、退職金にかかる所得税・住民税の計算方法や、税金を安くするコツをわかりやすく解説します。
退職金にかかる税金の種類
退職金には以下の税金がかかります。
| 税金 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 所得税 | 5%〜45% | 通常の所得税より優遇 |
| 住民税 | 10% | 一律 |
| 復興特別所得税 | 所得税の2.1% | 2037年まで |
退職金は、通常の給与所得とは別枠で計算され、優遇措置 が用意されています。
退職金の税金計算方法
退職金の税金は、以下のステップで計算されます。
ステップ1:退職所得控除を計算する
退職金には「退職所得控除」という大きな控除があります。勤続年数に応じて控除額が決まります。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数 |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年) |
計算例
- 勤続10年:40万 × 10 = 400万円
- 勤続20年:40万 × 20 = 800万円
- 勤続30年:800万 + 70万 × 10 = 1,500万円
- 勤続40年:800万 + 70万 × 20 = 2,200万円
ステップ2:退職所得を計算する
退職金から退職所得控除を差し引き、さらに2分の1 にします。
退職所得 =(退職金 − 退職所得控除)÷ 2
この「2分の1」が大きな優遇措置です。実質的に課税額が半分になります。
ステップ3:所得税を計算する
退職所得に所得税率をかけて所得税を計算します。
| 課税退職所得 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超 〜 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超 〜 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超 〜 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超 〜 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
ステップ4:住民税を計算する
住民税は退職所得の10%です(一律)。
計算例:勤続30年、退職金2,000万円の場合
ステップ1:退職所得控除
- 退職所得控除 = 800万 + 70万 × 10 = 1,500万円
ステップ2:退職所得
- 退職所得 =(2,000万 − 1,500万)÷ 2 = 250万円
ステップ3:所得税
- 所得税 = 250万 × 10% − 97,500 = 152,500円
- 復興特別所得税 = 152,500 × 2.1% = 3,203円
- 所得税合計:約155,700円
ステップ4:住民税
- 住民税 = 250万 × 10% = 250,000円
手取り額
- 退職金:2,000万円
- 税金合計:約405,700円
- 手取り:約1,594万円
退職金の受け取り方による違い
退職金は「一時金」「年金」「分割受給」のいずれかで受け取れます。受け取り方によって税金が変わります。
一時金で受け取る場合
- 全額を一括で受け取る
- 退職所得控除が適用される
- 2分の1優遇が受けられる
- まとまった資金になる
年金で受け取る場合
- 毎年一定額を受け取る
- 公的年金等控除が適用される
- 受け取り期間が長いほど税金が分散される
- 長生きリスクに対応できる
併用(一部一時金+一部年金)
- 一時金と年金を組み合わせる
- 両方の控除を活用できる
- 税金が一番安くなる可能性が高い
一般的には、併用が最も税金が安くなるケースが多い です。
退職金の税金を安くするコツ
1. 勤続年数を確認する
退職所得控除は勤続年数で決まります。転職を繰り返している場合は、各社の勤続年数を正確に確認しましょう。
2. 退職理由を確認する
「特定障害者退職手当」等の退職理由によっては、退職所得控除が大きくなる場合があります。
3. 退職金の受け取り方を検討する
一時金・年金・併用のどれが一番お得か、シミュレーションしましょう。企業年金やiDeCoの加入状況も影響します。
4. iDeCoの受取時も優遇がある
iDeCoで積み立てた資金は、退職金と同様に「退職所得控除」の対象になります。一時金で受け取る場合、勤続年数(加入期間)に応じた控除が受けられます。
退職金と社会保険の関係
退職金を受け取ると、以下の点に注意が必要です。
雇用保険の失業給付
- 退職金をもらっても失業給付の金額には影響しない
- ただし、退職理由(自己都合・会社都合)で給付開始時期が変わる
国民健康保険への切り替え
- 退職後は国民健康保険に切り替えが必要
- 退職金自体は国保の料計算に直接影響しないが、前年の所得で計算される
詳しくは社会保険料計算器で確認できます。
退職金にかかる税金のまとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 退職所得控除 | 勤続年数に応じて40万円×年数(20年超は70万円×年数追加) |
| 退職所得 | (退職金 − 退職所得控除)÷ 2 |
| 所得税 | 退職所得 × 税率 − 控除額 |
| 住民税 | 退職所得 × 10% |
| 優遇 | 退職所得が2分の1になる + 退職所得控除が大きい |
まとめ
- 退職金には「退職所得控除」と「2分の1優遇」の二重の優遇がある
- 勤続年数が長いほど控除額が大きくなる
- 受け取り方(一時金・年金・併用)で税金が変わる
- 併用が一番税金が安くなるケースが多い
- iDeCoの受取時も退職所得控除が使える
退職金の税金計算は複雑ですが、優遇措置が大きいので、正確に理解して賢く受け取りましょう。所得税の計算については所得税計算器も参考にしてください。